Trip Alsace, Bourgogne 2023 Oct.
  
おとぎの木組みの家とワインと美食の街
2023年10月20日(金曜) ストラスブール Strasbourg
 今年の秋の旅行は、フランス東部ライン川沿いアルザス地方と、ワインと美食のブルゴーニュへ。ということで、内陸なので、残念ながら、海の写真はありません。
 エールフランスのシャルル・ド・ゴール着は夕方で、空港の近くのホテルでゆっくり宿泊。朝からTGVで約2時間、アルザスの中心都市、ストラスブールへ。
 ローマ時代の対ゲルマンのライン川防衛線の軍事基地の街として始まり、ゲルマン民族の移動後は、ライン川と東西の交通の要衝として栄えた。
 東西のせめぎ合いで、何度も戦禍に会いながら、その度に、様々な時代と文化の建築が築かれた。宿泊も、16世紀の建物を利用したクールデュコルボーというホテルに泊まった。ガイドに連れられた観光客が、中庭で説明を聞いていた。
 神聖ローマ帝国の自由都市は、1681年に、ルイ14世に降伏後は、フランス王国の自由貿易都市として、フランス化が徐々に進んだ。その後、フランス革命の動乱を経て、1871年には、普仏戦争でヴィルヘルム1世が取り戻し、プロイセン領となった。
 ドイツ皇帝は、旧市街のハズレに、大きな通りと鷲の紋章を掲げたプロイセン風の堂々とした市庁舎、オペラ座、宮殿を整備し、まさにドイツ語のノイシュタット(新市街)が作られた。現在では、さらにまたその外側に、EUの欧州議会のガラス張りの曲面をデザインした建物が連なっている。
 現在でも、ドイツ語方言のアルザス語とフランス語が話され、料理もドイツ文化が色濃い。名物のキャベツの発酵酢漬けシュクルート(ドイツではザワークラウト)を使った魚料理や、ベックオフ、豚スネ肉の煮込み、タルト・フランベ(アルザス風薄焼きピザ)は、ドイツ起源ながら、フランス風に洗練されていて、どこか美味しい。アルザス風のレストラン、メゾンカメルツェルや、ルクルーで楽しんだ。

ローマ帝国、フランク王国の時代から、
司教座が置かれ、司教都市として栄えてきた。

街の中心のノートルダム大聖堂
ヴォージュ山から切り出した砂岩の赤色
1015年-1439年の建築。
結局、右側の塔は建築されず、非対称になった。

332段の階段を登り、
塔の下の展望台まで上がった。
街並みと、ヴォージュ山の景観が一望できる。

ステンドグラスと、天文観光時計を観光した。

ライン側の水運と、東西を結ぶ要衝の街は、
神聖ローマ帝国の帝国自由都市として、
その立地を活かした自由貿易で栄えた。

ヴォーバンダムから見た、クヴェール橋。
水運のために、水路を整備し、
敵から守るために、櫓を設けた。


2023年10月22日(日曜) コルマール Colmar
 観光ツアーならバスでちょっと寄るぐらいの近さ、アルザス地方の街コルマールへ、電車で30分程の移動。中世から、ルネサンス時代の街並みは、戦禍にも会わず、大きく発展することもなく残って、観光地になった。
 ジブリのハウルの動く城のロケハン、デッサンを行った街としても有名。  

ブフィスタの家

観光客が集まっているのですぐ見つかる。
特徴的な出窓が有名な観光地。
ハウルの動く城の映画の街並みのモデル

コロンバージュ(木骨組みの家)の街並
ロマンチック街道でも、良くある建物だが、
運河沿いの景色は少ない。
どこかフランス風におしゃれ。

右側の緑のホテルに泊まったが、
残念ながら、運河とは反対側の部屋だった。



旧市街を、他も観光した。

頭の家、メゾンデテッド
サンマルタン参事会教会
ウンターリンデン美術館

あいにくの天気だったが、
雨が止んだ時に、虹が

2023年10月23日(月曜) リボーヴィレ、リクヴィル
 雨の中、電車とバスで、コルマール近郊の城や村を巡った。ライン川とヴォージュ山の間を南北に広がる丘陵には、アルザスワインのブドウ畑が広がり、点々とワイン作りの村が並び、ブドウ畑の中を街道が通る。バスからも、一面のブドウ畑を見渡せた。

オークニークスブルグ城

昔から、通商に税を課したり、防御のために、
ヴォージュ山の標高755mに築かれてきた山城は、
30年戦争(〜1648年)で焼け落ちて、
廃墟になっていた。

1900年、プロイセン王は、
普仏戦争で得た領地に、威信を示すため、
また、文化、学問への理解を示すために、
現地と文献を詳細に調査して、
16世紀当時の姿を復元した。

内装は、鷲の紋章でプロイセン風に飾られた。

リボーヴィレ

コウノトリの里として有名な
ワイン作りの村、

街並みの奥の山上に古城が見える



リクヴィル

ブドウ畑の真珠と言われる
ワイン作りの村
「美女と野獣」のイメージの村とも
言われる。

2023年10月25,26日(水,木曜) ディジョンDijon
 旅の後半は、ワインと美食のブルゴーニュ地方に。フランス王の兄弟としてブルゴーニュ公国を与えられたフィリップ豪胆公から始まり、ジャン無怖公、フィリップ善良公、シャルル突進公と続く四大公が治める黄金時代は、ブルゴーニュに莫大な、富と文化、ワイン、美食をもたらした。
 最盛期には、北のオランダ、フランドル(ヘントやブルージュ)から、ルクセンブルク、ロレーヌ、アルザス、ブルゴーニュまでを南北に貫く、当時最も繁栄した地域を大公国領として、フランス王家を凌ぎ、100年戦争時の内戦では、イングランドと結んで、王権をも目指した。
 そのブルゴーニュの首都ディジョンには、大公の庇護下、書物、彫刻、絵画、織物、建築、料理、様々な芸術、文化が栄えた。
 突進公が戦場で敗れたことで、公国は終わったが、残されたマリードブルゴーニュは、ハプスブルグ家のマクシミリアンに助けを求め、その後のハプスブルグ家は、わらしべ長者のように、フランドル、スペインを手に入れ、新大陸を含む大王朝になった。

ブルゴーニュ大公宮殿

現在は、右側はディジョン美術館になり、
豪胆公とジャン無怖公の墓廟や、
ポンポンの白熊が展示されてる。

中央は善良公の塔
316段の階段を登って、
ディジョンの街並みを眺めた。

クリスマスの照明の準備が始まっていた。

クラウススリューテル作
モーゼの井戸

豪胆公が、大公家の埋葬所として
シャンモル修道院を建て、
スリューテルに彫刻を依頼した。
美術館で見た墓廟も元は、
この修道院にあった。

衣服のひだの柔らかさの表現。



美食の街を支える中央市場

リヨンや、アビニョン、バイヨンヌと比べても、
規模でも、品揃えでも、一番だと思った。
夏時間の早朝で、まだ暗かったが、
多くの人で賑わっていた。

隣接のフランシュコンテ地域が、
コンテチーズの限定産地で、
様々な熟成月のコンテが並ぶ。

美食ツアーの観光地として、
2022年に開業した
食とワインの国際美食館
も訪れた。

2023年10月27日(金曜) ソーリューSaulieu
 今回の旅行の一番の目的地は、ガイドブックには載っていないようなモルヴァンの森の端に位置する小さな田舎町ソーリュー。パリ、ディジョン、地中海をつなぐ鉄道が出来る前は、南北を繋ぐ主要な街道町として栄えたそうだが、現在は、一時期通っていた鉄道もなくなり、ディジョンからも、一日2〜3本のスクールバスしかなく、70km以上タクシーに乗るしかない。
 この町のルレベルナールロワゾーに泊まって、ラコートドールでの食事が夢だった。ベルナールロワゾーは、ボキューズ全盛の時代に、バターやクリームのソースを使わず、出汁と野菜のピュレで、素材本来の味を味わう料理スタイルを開拓した。いつも行くパザパや北野ホテルの料理のスタイルの元にあたり、行ってみたかった。
 ソーリューの街は、他にも、ロマネスクオタクには、その柱頭彫刻で有名なサンタンドシュバジリカ聖堂があり、シロクマの作者ポンポンの生まれ故郷でもある。

ボキューズ程では、ないが、
ちょっと派手な色の外観。

パリからでも車を飛ばせば、2時間程、
前にはポルシェが停まっていた。

今回、知ったのだが、このホテルは、
ベルナールロワゾー以前からの
美食の歴史があり、
有名シェフ、アレクサンドルデュメーヌが
1932年この地に、ラコートドールを築き、
世界中のグルメがやって来た時代があった。

その当時を思わせる、古い建物が、
田舎町に似合う。

     今も、ホテルのロビーの一室は、
美食の歴史の部屋として、当時のまま保存され、
写真や、メニュー、資料が展示されている。



カエルや鳩料理のスペシャリテの
定番コースもあったが、
普通のランチコースにした。

アミューズ
英語で説明はあったが、
ちょと難しい。

英語メニューの機械訳は、
モルヴァンの香りのシェルガーデン
ヨウドウォーターミントゼリー、
シーフォーム、柑橘類
Shell garden with Morvan scents
iodized water mint jelly,
sea foam and agrums



ジョンドリーフィレ
蜂蜜 ジュース
ネイルヘッドシャンテレマッシュルーム
Jonh Dory filet
melitte juice
nail head chanterelle mushrooms

ジャガイモの葉の周りの
シャロルのPDO牛肉、
ムースリン、ワッフル
PDO beef from Charolles declination
around the potato leaf to leaf,
mousseline and waffle



ラピエール・クイ・ヴィール・
ミラベル・シャーベットの
ヨーグルトクリームと
新鮮なコリアンダー
Confit Mirabelle with yogurt cream
from la Pierre qui
Vire mirabelle sorbet
with fresh coriander

 

コーヒーのお茶菓子もおしゃれ。

ベルナール亡きあと、奥さんが経営していたが、
今年、長女が引き継がれたそうだ。

ロビーでくつろいでいると、
普段着の、日本通のような女性に、
(もしかしたら、日本語だったのかもしれない)
「ちょっと待っててね」と言われて、
戻ってきて、「ロワゾー」ですと挨拶されて、
ちょっとびっくりした。

昔の写真や、歴史部屋の展示を
案内してもらった。

日本通で、12月にも、
ガラディナーが日本であるそうだ。


2023年10月28日(土曜) ボーヌBeaune
 ボーヌは、ディジョンからマコンまでソーヌ川沿いに南北に伸びるワイン畑の丘陵地帯、コートドール(黄金の丘)の中央に位置する、ブルゴーニュワインの中心地。規模はマイユ社程は大きくないが、ブルゴーニュの白ワインを使ったファロ社のマスタードが有名で、手作り出来る見学コースにも行った。

オスピスドボーヌ
1443年築の慈善事業の病院の建物

釉薬で色付けした瓦のモザイク模様が
ボーヌの財力を物語る。
モザイク屋根は、普通は、
ヴィーンのシュテファン大聖堂のような
教会や城、市庁舎にしか使われない。

今も、病院は寄贈されたブドウ畑を所有し、
毎年秋にその有名ワインが競売され、
病院事業が維持されている。



ボーヌの街の、山側まで散歩し、
収穫が終わり、色ずいたブドウ畑。
石垣で区分されたパッチワークのような景観

ブルゴーニュワインは、
クリマと呼ばれる区分された畑毎に、
単一品種のブドウでワインが作られる。

有名なクリマのワインの本数は限られ、
希少価値で、信じられないような値段が付く。
ボルドーよりも、その分、格が違う。
ロマネコンティの畑は、観光客で一杯。

そんな高価なワインの味は
解らないが、
普通のグラスワインで、十分美味しい。

ホテルで勧められたビストロで、
有名、ブルゴーニュ風エスカルゴ。



ブッフ、ブルギニオン
牛肉の赤ワインに、
なぜか、パスタの付け合わせが定番。

ビストロの名前は、ラザール、カルノー
古い時代の肖像画も飾ってあったので、
気になってWikiで調べると、ちょっと驚き。
フランス革命時代に、補給を含めた軍組織の制度を
整備したブルゴーニュ出身の数学者、技術者。
ナポレオンに認められ、伯爵、内務大臣にも。
気になったカルノーサイクルの物理学者は、
その長男。孫はフランス大統領にもなっている。

2023年10月29日(日曜) ボーヌBeaune
 ワインは、ボーヌに富をもたらし、富は美食を育てる。ボーヌの小さな旧市街に、ミシュランの星付きや、掲載店が軒を連ねる。バスクのように、観光客が押し寄せるのはなく、地元の人々が、当然のように、それなりの値段のブルゴーニュワインと美食を楽しむ。
 夙川のベナトンのシェフが修行した1つ星がボーヌにある。現在は、辻調フランス校出身の日本人シェフが星を引き継いでいる。事前にネットで予約して、ランチコースを頼んだ。
 写真以外に、二皿目の前菜として、和牛のミキュイ、出汁ソースと、ポーチドエッグというのがあったが、これは、まさしく、さっと火を通したすき焼きで、日本人には、良くある味。和牛を日本テイストでフレンチに仕上げるのが、星付き日本人シェフの腕なのだろう。

アミューズは、
メニューには記載がないので、
英語で説明されたが、理解できていない。

ホタテスナックセロリ
梨、ココアジュース濃縮
Saint Jacques snacks celeri-rave
Poire,concentre de jus de cacao



パテアンクルート

2013年にパテアンクルートの大会で、
2位になった、この店の、スペシャリテ
アラカルトの料理で、
ランチコースには含まれない。
折角だから、食べたいと聞いてみると、
一皿(45ユーロ)を、二人で分けても良いと。

低温調理のブレス、チキン
フォアグラムース
菊芋(topinambour)
バニラソース。

菊芋は日本風なんですかと
質問したら、
フランスでは良く使われると。



巻のゼリーは
なんだったかな?
オレンジ、ニンジン?それともパプリカ

2023年11月1日(月曜) リヨンLyon ツーサン聖人の日の祝日
 2019年春の旅行では、リヨンから始めて、プロバンスを巡ったが、今回の2度目のリヨンでは、現代風のオペラ鑑賞の後、満腹ツアーの最後として、ポールボキューズのブラッセリーに。

時々雨がパラつく天気だったが、
日が傾き始めた頃に、青空が見えた。

ソーヌ川越に、裁判所と、
フルヴィエールバジリカ聖堂。

1度目のリヨンの時は、
冒険気分で、郊外の本店の
レストランまで行った。

市街地にも、ボキューズ系列の
数軒のブラッセリーがある。
行きたかったNord店は、改装工事中で、
少し南のローヌ川沿いのSud店にした。

日本で言えば、お盆にあたる
ツーサンの祝日なので、
事前にネットで予約した。



前回の時も、川沿いの立派な建物は、
旧市立病院だと聞いていたが、

建物を活かして、再開発が行われ、
インターコンチのホテルと飲食店、お店と
国際美食館を含む、複合施設になっている。

重厚な建物自体が、訪れる価値のある所。
美食館の展示は、色んな工夫がされているが、
まあ、それなり。

ボキューズが使っていた、現物のコンロが
展示されているのが、感動的。


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